里山トレッキング2


2002年10月13日(日) 翁山(1,075m)

  翁山(翁峠)は山形県の東端を縦断する奥羽山脈に属しており、尾花沢市と宮城県との県境に位置しています。登山口は尾花沢市の高橋から入るクルミ平コースと、やや南の吹越峠コース、それから鍋越トンネル宮城県側から吹越峠へ至るコースがあるようですが、クルミ平コースが一般的に利用されるみたいです。尾花沢から赤倉温泉に向かって尾花沢最上線(県道28)を行くと、たおやかで大きな、いかにも稜線歩きをしてみたくなるような翁山の山塊が真正面に近づいてきます。すぐ南には高圧電線が並ぶ吹越峠を挟んで二ツ森(通称おっぱい山)というとても目立った山容の山もつながっています。前回、次女と来たときは何の準備もしてこなかったため途中のブナ林の尾根で撤退しましたが、今回は再チャレンジというわけです。参加者は筆者と女房、次女(小2)、長男(4歳)、愛犬チロ(芝犬9歳)です。
舗装路を登り、途中から翁山の道標に従い砂利道を少し入ると唐沢を渡る橋があります。この先の林道は大変険しいので一般の登山者はたいていここで車を降りるようです。

【翁山小屋までの林道】
唐沢を渡る橋から登山口の翁山小屋まではとんでもない悪路が続きます。写真ではたいしたこと無いように見えますが実際はもっともっとひどい極悪路です。車1台分程度の狭い幅員で、いたるところが深く掘られているため4WDでも無事に走行できるか不安です。しかし、歩くと登山口まで1時間以上もかかるらしいので今回も無理して車で行くことにしました。

【林道終点】
極悪林道を20分くらい走ると、車数台が駐車できる終点に着きます。途中、対向車が1台も来なくて助かりました。目指している翁山の稜線も間近に見えます。


【翁山小屋】
山小屋は駐車場から30mくらい入った所にあります。前回は車で行けたのですが、今回は途中の沢にかかる橋が崩壊していて車は行くことができませんでした。まあ、歩いてもほんのちょっとなんですが・・・

【登山開始】
11時30分登山開始です。翁山小屋一帯はクルミ平という湿原帯の台地で、登山道は杉やブナに覆われた平坦路を歩くことから始まります。間もなく黒倉山鞍部へ通じる分岐がありますが、そちらから下山してきた人が「クマの糞を見たのでこっちの道は下山には使わない方が良い。」と教えてくれました。その後、2つばかりの沢を橋代わりの木を伝って渡るとブナ林の尾根登りになります。

【視界が開け稜線が見えた】
ブナの尾根登りが終わると山腹を左に回る平坦路になります。一息つきながらしばらく歩くと今度はいよいよ主尾根に取り付きます。翁山は、事前に調べた情報では小一時間程で簡単に登れる山だと高をくくっていましたが、実際にはきつい急登あり、そして登り道が山頂までだらだらと続くけっこう疲れる山でした。ここでも地元の人らしい年輩の方が下りてきたので熊のことを話すと、あの辺りは熊の通り道になっていると言われてしまいました。ここまでだめ押しされれば、山頂まで行ってそのまま往路を引き返すこともやむなしと考えてしまいます。やっとのことで急勾配を登り切ると、黒倉山鞍部あたりの稜線が目の前に見えてきました。

【翁山神社】
さらに尾根を登り詰めて行くと稜線を歩く登山者の声が聞こえてくるようになりました。しかし、なかなか頂上へは着きません。展望が開け翁山神社へ飛び出すといよいよ頂上のようです。稜線を背景にスナップ写真を撮っていると遅れがちだった女房が姿を現しました。13時10分到着です。しめて1時間40分の所要時間でした。

【ほんとうの山頂】
翁山神社が山頂かと思いましたが、10mほど先の高台が三角点のある本当の山頂でした。ここは360度の展望があり、北には神室山系や最上の街並み、東は宮城県の山並み、西には尾花沢の街並み、そして南にはいかにも快適そうな稜線の道が見渡せます。

【他の登山者もやって来た】
おにぎりを食べてのんびりしていると、一組、二組と他の登山者がやって来ました。南へ続く遠くの稜線上には、吹越山へ向かって歩いて行く団体が見えます。この稜線を歩かねばわざわざ翁山にやって来た意味がありません。とりあえず引き返すことを前提に少しだけ歩いてみることにしました。

【吹越峠へ続く稜線】
翁山頂上から吹越峠へ至る稜線は、背丈の低い笹道になっていて展望も良く絶好のハイキングコースになります。ちょうど写真中央の黒倉山の鞍部あたりに翁山小屋まで下る周回コースの分岐があります。しかし、見ている限り、最初に出会った人以外は誰もそのコースは下りていないようです。

【稜線を歩く】
いろいろな本や資料で紹介されているこの稜線上の道はまさに最高の遊歩道でした。天気は良いし言うことなしです。途中、10名くらいの中高年グループとすれ違います。皆さん60歳以上に見えましたが装備もしっかりしていて健脚そのものでした。いよいよ黒倉山の鞍部の分岐が見えてきました。この辺りまで来てしまうと引き返すのがとてもおっくうです。熊のことが気になりますが、この下山コースを下ることにします。

【翁山を振り返る】
名残惜しい翁山を振り返ると稜線のピークが青空に映えています。すばらしい景色を後にして下山ルートを辿ります。この道はたいへん細い上、一気に稜線から下まで降りる直滑降のようなルートです。とても滑り易いため子どもには不向きかも知れません。しかも下り始めから展望が閉ざされて、薄暗く湿った道はいかにも熊が出てきそうな雰囲気を醸し出しています。下の子供は降りるのが怖くて最初から泣き出してしまいました。手をつなぎながらやっとのことで不気味なクルミ平まで降りてくると、今度は登山道の真ん中に例の熊の糞を見つけてしまいました。しかも近いところ3ヶ所にわたり大きな糞を見てしまったのです。熊に出くわしたらチロがいたずらに吠えて刺激しないかとか、自分はまともに戦えるのかとか内心とてもびくびくものでした。笛や鈴を鳴らしたり大声を出したりして、早くこの場を抜け出すことだけを考えながら足を早めました。途中にけっこう幅が広い小川があり渡るのに難儀しましたが約1時間で何事もなく無事に小屋まで戻ることができたのでみんな一安心です。緊張から解放された途端、「もう二度と登山はしない!!」と一斉に女房や子ども達のブーイングが始まりました。今回の登山は自分にとって良かったのか悪かったのか、大変複雑な心境になったことは言うまでもありません。σ(^^;)


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